
亜鉛は髪の毛の成長に欠かせないミネラルです。亜鉛の摂取だけで目に見えて髪の毛が成長することはありませんが、不足すると健康な髪を生み出す力が弱まり、抜け毛や薄毛の一因となることはあります。
亜鉛は髪の主成分であるケラチンを生成する上で重要な役割を果たし、ヘアサイクルを整え、髪の健康維持に寄与する働きが期待できます。
女性が亜鉛不足になりやすい理由
月経による栄養素の消失
女性は月経により定期的に鉄分と共に亜鉛も失われます。特に月経量が多い方は、亜鉛不足のリスクが高まります。また、鉄分不足を補おうとして鉄分サプリメントを摂取する際、亜鉛の吸収が阻害される場合があるため注意が必要です。
妊娠・授乳期の需要増加
妊娠中や授乳中は、胎児や乳児の成長のために母体の亜鉛需要が大幅に増加します。この時期に亜鉛が不足すると、産後の抜け毛がより深刻になる可能性があります。
ダイエットによる栄養不足
極端な食事制限や偏った食事は、亜鉛を含む必要な栄養素の不足を招きます。特に肉類を避けるダイエットでは、亜鉛の主要な供給源を失うことになります。
更年期におけるホルモン変化
更年期になるとエストロゲンの分泌が減少し、亜鉛の需要が変化します。この時期の亜鉛不足は、薄毛だけでなく肌や爪の健康にも影響を与える可能性があります。
亜鉛の働きとは?
ケラチンを合成する
髪の毛はその80~90%がタンパク質で構成されており、そのうちの大部分がケラチンから作られています。そして、そのケラチンの生成には亜鉛が不可欠です。
亜鉛は、次のような過程でケラチンの合成に関わります。
- 食事などでタンパク質を体内に取り込む
- タンパク質を分解し、アミノ酸にする
- アミノ酸を再結合してケラチンを生成する
この3つ目の過程で、亜鉛が重要な役割を果たします。そのため、タンパク質を十分に摂っていても薄毛が改善しない場合は、亜鉛不足が原因の可能性があります。
5αリダクターゼ酵素の抑制
薄毛の原因となる「ジヒドロテストステロン(DHT)」は、女性の体内にも存在する還元酵素「5αリダクターゼ」と男性ホルモン「テストステロン」が結合することで生成され、抜け毛などの症状を引き起こします。
亜鉛には、この5αリダクターゼ酵素を抑制し、DHTの生成を抑える働きがあるため、薄毛の進行を抑制する効果が期待できます。
美容全般をサポート
亜鉛は髪以外にも、爪や皮膚の健康維持に欠かせない栄養素です。亜鉛不足になると、爪の白斑や皮膚炎、免疫力の低下などが起こる場合があります。女性にとって、髪・肌・爪の美しさを総合的にサポートする重要な栄養素といえるでしょう。
不足した亜鉛の補い方
亜鉛を多く含む食品で補う
食事から亜鉛を摂取することは、健康な髪を育てるための基本です。亜鉛を豊富に含む食品を意識的に取り入れましょう。
【亜鉛を多く含む食品の例】
食品 | 亜鉛の含有量(100gあたり) |
---|---|
<貝類> かき くん製油漬缶詰 | 25.0mg |
こむぎ [その他] 小麦はいが | 16.0mg |
<貝類> かき 養殖 生 | 14.0mg |
<畜肉類> うし [加工品] ビーフジャーキー | 8.8mg |
<魚類> (さば類) ごまさば さば節 | 8.4mg |
かぼちゃ いり 味付け | 7.7mg |
<畜肉類> うし [ひき肉] 焼き | 7.6mg |
<牛乳及び乳製品> (チーズ類) ナチュラルチーズ パルメザン | 7.3mg |
<魚類> (いわし類) かたくちいわし 煮干し | 7.2mg |
<コーヒー・ココア類> ココア ピュアココア | 7.0mg |
まいたけ 乾 | 6.9mg |
参照:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
女性におすすめの亜鉛の摂取方法
- 牡蠣(生・缶詰): 亜鉛含有量がトップクラスで、生牡蠣なら2〜3個で1日の推奨量をクリアできます。缶詰なら手軽に料理に取り入れられ、パスタやサラダのトッピングとしても活用できます。
- 煮干し: 出汁を取るだけでなく、そのまま食べることで効率的に亜鉛を摂取できます。カルシウムも豊富で、女性に不足しがちな栄養素を同時に補えます。
- ピュアココア: 飲み物として手軽に摂取でき、リラックス効果も期待できます。豆乳や牛乳で割ることで、さらに栄養価をアップできます。
- 牛ひき肉: 普段の料理に取り入れやすく、ハンバーグやミートソース、そぼろなど様々な料理に活用できます。鉄分も豊富で、月経のある女性には特におすすめです。
- パルメザンチーズ: 少量でも亜鉛を効率的に摂取でき、パスタやサラダ、スープなどの風味付けに最適です。カルシウムも豊富で骨の健康にも寄与します。
- 乾燥まいたけ: 水で戻して炊き込みご飯や煮物に使ったり、粉末状にしてスープやみそ汁に加えたりと、手軽に日常の食事に取り入れられます。食物繊維も豊富で美容効果も期待できます。
亜鉛サプリメントで補う
食事からの摂取が難しい場合は、亜鉛サプリメントを活用するのも一つの方法です。調理の手間がなく、手軽に摂取できるため、忙しい日常でも継続しやすいのがメリットです。
特に育児中や仕事で忙しい女性にとって、亜鉛サプリメントは効率的な栄養補給手段となります。
Dr.AGAクリニックでは、独自に開発した内服タイプのサプリメント「Dr.Zinc(亜鉛)」をご用意しています。
Dr.Zinc(亜鉛)は、吸収率や身体への安全面を考慮して、無機亜鉛(亜鉛を直接含む)ではなく、亜鉛含有酵母を含ませております。亜鉛含有酵母とは、酵母(イースト)に亜鉛を吸収させて培養し、酵母の成長過程で自然に取り込まれた亜鉛を含むものです。
ビタミンCによって体内への吸収がサポートされますので、Dr.AGAクリニックでは「Dr.Vitamin(ビタミン)」と併せて摂取することをお勧めしています。
生理周期に合わせて摂取する
月経前や月経中は亜鉛の需要が高まるため、この時期に意識的に亜鉛を多く含む食品を摂取することをおすすめします。
亜鉛摂取の注意点
亜鉛は体内での生成ができない必須ミネラルですが、摂りすぎてしまうと頭痛や発熱などが起こるなど逆効果になります。また、過剰摂取により薄毛を引き起こすことも考えられます。
1日の推奨摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、各年代の女性に推奨される1日の亜鉛摂取量は以下のとおりです。
【推奨される1日あたりの亜鉛摂取量】
年齢 | 女性 |
---|---|
18~29歳 | 8mg |
30〜49歳 | 8mg |
50~64歳 | 8mg |
65~74歳 | 8mg |
75歳以上 | 8mg |
妊娠中: +2mg、授乳中: +4mgの追加摂取が推奨されています。
参照:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
避けるべき組み合わせ
- カフェインやタンニン: コーヒー、緑茶、紅茶、ココアなどと亜鉛サプリメントの同時摂取は避けましょう
- 食物繊維: 全粒穀物や豆類に含まれるフィチン酸は亜鉛の吸収を妨げる可能性があります
- 食品添加物: インスタント食品やコンビニ食品に含まれるポリリン酸は亜鉛の吸収を阻害します
- アルコール: 過度な飲酒は亜鉛の排出を促進し、不足を招きます
亜鉛の摂取に関しては当院の食事改善相談サービスでご相談ください
当院では、ご来院の際にカウンセリングの中で患者様の疑問や質問にお答えしております。
- 食事改善相談サービスでは、薄毛改善を助ける食べ物・栄養素、薄毛の進行につながる食べ物・飲酒・喫煙など、FAGAに関係する食事改善について重要な知識をお伝えしております。とくに女性に不足しがちな鉄分や亜鉛などの栄養素についても詳しくアドバイスいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。