AGA

治療に使用されるAGA薬の種類

AGA

AGA(男性型脱毛症)の治療を検討するうえで、「どの治療薬を選べばいい?」「効果の違いは?」「値段はどれぐらい?」といった疑問や不安を抱く方も多いのではないでしょうか。AGA治療薬は、症状や体質に合わせて選択しないと、期待する効果が得られなかったり、副作用が強く出たりする場合もあるため、注意が必要です。

そこで、この記事では、AGA治療薬への理解を深められるように、効果・おすすめの選び方・値段などを解説します。

AGA治療薬の種類

AGA治療に用いられる主な薬は、以下の3つです。それぞれの特徴を簡単に表にまとめました。

  • ミノキシジル
  • プロペシア
  • ザガーロ
 ミノキシジルプロペシアザガーロ
服用方法内服薬/外用薬内服薬内服薬
効果発毛の促進脱毛の進行を抑制脱毛の進行を抑制
副作用かゆみ
発疹
むくみ
動悸 など
性欲減退
勃起不全
肝機能障害 など
勃起不全
性欲減退
精液減少 など

副作用については、「AGA治療薬の副作用を解説」に詳しく書きましたので、そちらも合わせてご覧ください。

それでは、各治療薬について、以下で掘り下げてみていきましょう。

ミノキシジルの歴史と効果

ミノキシジルは、もともとは血圧降下剤として高血圧患者用の薬として開発されました。

しかし、臨床実験を行った結果、ミノキシジルを服用した患者に多毛症の症状がみられたため、AGAの治療薬として研究されはじめました。1980年代にはミノキシジル濃度2%の治療薬が開発され、現在ではAGA治療薬として90カ国以上で認可されています。

ミノキシジルは、血管拡張作用によって頭皮に送られる血流を改善します。これにより、髪の成長に必要な毛母細胞が活性化され、毛乳頭が毛細血管から栄養を受け取りやすくなるため、発毛の促進が期待できます。

また、毛髪の成長に重要なホルモン「インスリン様成長因子1(IGF-1)」や血管の新生を促すタンパク質「血管内皮細胞増殖因子(VEGF)」の分泌が促進されることで、ヘアサイクルの延長も期待できます。毛母細胞の死滅(アポトーシス)を防ぐことでも、ヘアサイクルが改善されます。

実際に、男性被験者924名を対象としたシステマティック・レビュー(2%のミノキシジル液を24 週にわたって使用)では、プラセボ群と比べて、ベースラインより平均で 20.90本増加したことが報告されています。

こうした結果から、日本皮膚科学会が公開している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも、AGA治療に対してミノキシジル外用を強く勧めています。

なお、ミノキシジルには外用薬だけでなく内服薬のミノキシジルタブレットもあります。心臓に負担をかけてしまう可能性や外用薬にはない副作用もあるため、ミノキシジルの内服を検討される方は専門医に相談することが必要です。

プロペシアの歴史と効果

プロペシアは、フィナステリドという成分を配合した代表的なAGA治療薬です。

当初は前立腺肥大症の薬として開発されましたが、服用患者の髪が増える事象がみられたため、AGAの治療薬として改めて開発されました。日本でも承認されている医薬品で、2005年12月から販売されています。

プロペシアは、人間の体内に存在する還元酵素「5αリダクターゼ」Ⅱ型の働きを阻害して、男性ホルモン「テストステロン」との結合を防ぐことで、「ジヒドロテストステロン(DHT)」が生成されることを抑制します。これにより、抜け毛の要因となる「トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)」の産生を抑えられるため、脱毛の抑制が期待できます。

実際に、日本人の男性被験者414 名を対象に頭頂部の写真撮影による効果判定を行った試験(プロペシアの主成分であるフィナステリドを48週にわたって1日あたり0.2mgまたは1mg投与)では、0.2 mg/日投与で54%、1 mg/日投与で58%に軽度改善以上の効果がありました。

また、引き続き 1 mg/日の投与を継続した試験において、2年間で68%、3年間で78%の症例で軽度改善以上の効果が得られました。

こうした結果から、日本皮膚科学会が公開している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも、成人男性のAGA治療に対してフィナステリド内服を強く勧めています。

ザガーロの歴史と効果

ザガーロは、デュタステリドという成分を配合した比較的新しいAGA治療薬です。

もともと前立腺肥大症の患者向けに開発されましたが、服用した患者の髪の毛が増えるという事象がみられ、AGA治療薬としても使われるようになりました。日本でも承認されている医薬品で、2016年6月から販売されています。

ザガーロは、人間の体内に存在する還元酵素「5αリダクターゼ」Ⅰ型・Ⅱ型の働きを阻害して、男性ホルモン「テストステロン」との結合を防ぐことで、「ジヒドロテストステロン(DHT)」が生成されることを抑制します。これにより、抜け毛の要因となる「トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)」の産生を抑えられるため、脱毛の抑制が期待できます。

実際に、男性被験者120 名を対象にした国内の試験(ザガーロの主成分であるデュタステリドを52週にわたって1日あたり0.5mg投与)では、直径30μm以上の非軟毛数・硬毛数・非軟毛直径が52週後に増加しました。また、同試験において皮膚科医が行った頭頂の写真評価では、26週・52週時点でいずれもベースラインより有意に毛量の増加が認められました。

こうした結果から、日本皮膚科学会が公開している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも、成人男性のAGA治療に対してデュタステリド内服を強く勧めています。

AGA治療薬 おすすめの選び方

AGA治療薬は、以下の点を考慮して選ぶのがおすすめです。

  • 症状の進行状況によって選ぶ
  • 持病や体質を考慮して選ぶ
  • 価格で選ぶ

ただし、上記はあくまで参考指標です。実際に服用する治療薬は、まずクリニックの専門医と相談しましょう。

症状の進行状況によって選ぶ

3つのAGA治療薬を紹介しましたが、期待できる効果の方向性は、大きく以下2つに分かれます。

・脱毛の進行を抑制する「守りの薬」:プロペシア・ザガーロ

・発毛を促進する「攻めの薬」:ミノキシジル

プロペシアとザガーロは、脱毛を抑制する「守り」の性質は同じですが、効果の及ぶ範囲に違いがあります。併用はできませんので、どちらを服用するのがよいかはその人の症状によって変わります。

AGAの症状が前頭部や頭頂部に出ている人は、まずはプロペシアがおすすめです。一方、前頭部・頭頂部だけでなく側頭部・後頭部にも症状が及んでいる人は、ザガーロへの切り替えを検討してもいいかもしれません。ただし、ザガーロは広範囲に高い効果が期待できる分、副作用の発現頻度が高くなります。クリニックの専門医に診断してもらい、判断しましょう。

また、脱毛抑制だけでなく発毛促進も希望する方は、プロペシア・ザガーロのいずれかとミノキシジルの併用がいいでしょう。相乗効果により、髪のボリュームアップが期待できます。

持病や体質を考慮して選ぶ

各AGA治療薬には、さまざまな副作用があり、持病や体質によって服用できない方もいます。

自分が使用できるのか否かの情報を把握したうえで薬を選ぶことは、安全に治療を進めるためにも欠かせません。

価格で選ぶ

AGA治療は自由診療で保険適用外になるため、クリニックによって価格も変動しますが、治療薬のおおまかな費用相場を確認しておきましょう。

【内服薬】

薬の名称費用相場
プロペシア8,000〜10,000円/月
フィナステリド(プロペシアのジェネリック)3,800〜5,000円/月
ザガーロ9,000〜11,000円/月
デュタステリド(ザガーロのジェネリック)7,000~8,000円/月
ミノキシジルタブレット5,000〜8,000円/月

【外用薬】

5,000〜20,000円/月

AGA治療薬を服用する際の注意点

AGA治療薬を服用する際の注意点は以下の2つです。

注意点を守ることは、自分自身の健康を守ることにもつながるため、あらかじめ確認しておきましょう。

禁忌事項を確認すること

AGA治療薬を使用する際には、必ずその添付文書に記載されている禁忌事項を守ってください。健康を害する可能性があるため、細心の注意を払う必要があります。

各AGA治療薬の禁忌事項については、「AGA治療薬の副作用を解説 」をご覧ください。

服用前に必ずクリニックで相談すること

AGA治療薬を購入・服用する際は、まずクリニックで医師に相談することをおすすめします。
価格の安さからAGA治療薬の個人輸入を考える方もいますが、偽造品や粗悪品が届く可能性もあり、医師でも製造元の確認が難しいほどに見極めは困難です。

また、日本には医薬品が原因で重い副作用が発生した場合に給付金の申請が行える「医薬品副作用救済制度」がありますが、個人輸入した薬による副作用は対象外となってしまいます。

個人輸入したAGA治療薬を服用した方が、不安を覚えてクリニックを訪れるケースも出てきています。本来であれば負わなくてよいリスクなので、医療機関にて安全性が確認されているAGA治療薬の処方を受けましょう。

参照:厚生労働省|医薬品副作用救済制度の概要と制度への協力のお願いについて

AGA治療薬に関するよくある質問

最後に、AGA治療薬に関するよくある質問にお答えします。

Q.AGA治療薬にジェネリックはある?

AGA治療薬には、ジェネリック医薬品が存在します。

プロペシアは先発薬の製品名であり、フィナステリドは成分名ですが、現在では後発薬(ジェネリック医薬品)の製品名としても「フィナステリド」が用いられています。フィンペシアも、同じくフィナステリドを配合した医薬品です。ただし、フィンペシアは国際特許の満了前から販売されており、日本では承認されていません。そのため、日本で処方している医療機関はほとんどないでしょう。Dr.AGAクリニックでもフィンペシアの処方は行っていません。

同様に、ザガーロは先発薬の製品名であり、デュタステリドは成分名ですが、現在では後発薬(ジェネリック医薬品)の製品名としても「デュタステリド」が用いられています。

同じ有効成分であるため、基本的には効果も先発薬と同じですが、価格帯が低いのが特徴です。

Q.AGAに一番効く薬はどれ?

デュタステリドはフィナステリドより脱毛抑制効果が高いとされていますが、個人差があります。ミノキシジルは、発毛効果はありますが、脱毛抑制効果はないため、予防の観点からすると適切ではありません。

そのため、「一番効く薬」というよりは、「自分に合った薬」を医師と相談して選択するのがよいでしょう。

Q.AGA治療薬を断薬するとどうなる?

AGAは進行性の症状なので、ミノキシジルやフィナステリドなどを含め、すべての薬をやめてしまうと再び薄毛になる可能性が高くなります。
これは、薬を服用している間は薄毛予防や発毛効果を持続できますが、何も対処しなければ体質が元に戻ってしまうためです。
断薬を希望される際は、再発のリスクなどを考慮したうえで、中止したい場合には医師と相談してみてください。

Q.AGA治療薬を減薬するとどうなる?

複数のAGA治療薬を服用している場合、たとえば「ミノキシジルをやめてフィナステリドだけにする」といった方法で、減薬ができる可能性があります。

これは前述のとおり、ミノキシジルは発毛を促進する「攻めの薬」、プロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)は脱毛の進行を抑制する「守りの薬」、というように薬の特徴が異なるからです。

そのため、ご自身の使用感なども加味しながら、「毛量が増えてきて、あとは脱毛を抑制して現状維持できればいいから、ミノキシジルを減薬しよう」「自分は発毛を促進する方向に特化したいので、フィナステリドを減薬しよう」という取捨選択はまったく問題ありません。
むしろ、そうすることによって、治療費の負担も軽減できます。

ただし、治療が振り出しに戻ってしまわないためにも、減薬のタイミングを間違わないことは重要です。これは医師による適切な判断が必要になりますので、クリニックでカウンセリングを受けたうえで決定されることをお勧めします。

Q.AGA治療薬って一生飲み続けるもの?

患者様からよく「AGAの薬は一生飲み続ける必要がありますか?」とご質問いただくことがあります。
結論から申し上げると、答えは「YES」でもあり「NO」でもあります。

当院の治療では1年という治療期間を定めて、内服薬・外用薬・施術の治療を行いますが、1年間治療してもAGAに完治はありません。何年治療しようとも、どのクリニックであっても、完治を望めないのがAGAの厄介な現実なのです。

しかし、1年という期間を設けて集中して治療を行うことにより、短くなってしまったヘアサイクルを少なからず改善することは出来ます。脱毛を抑制する・発毛を促進する治療を行った結果、1年後にはほとんどの方に薄毛の改善が見られ、髪の毛がフサフサになる方もたくさんいらっしゃいます。

では、1年後に薬をやめていいのかというと、やめられる薬もあるという意味では「YES」であり、飲み続ける必要のある薬もあるという意味では「NO」となります。

ここから先の考え方については、上記の「断薬」と「減薬」における問いに対する答えと同様になります。
つまり、AGA治療薬については、「もう薄毛になってもいい」と思うタイミングやきっかけがあるまで、基本的には一生飲み続けることが推奨されるお薬だと思ってください。

Q.AGA治療薬に耐性がつくことはある?

長期間同じ薬を飲み続けたり、大量の薬を服用し続けたりすることによって、効果が薄れていく「薬剤耐性」について、ご存じの方も多いでしょう。
ただし、プロペシア(フィナステリド)・ザガーロ(デュタステリド)・ミノキシジルといったAGA治療薬に関していえば、現状、服用を続けることによる耐性は実証されていません。

とはいえ、長期間にわたりAGA治療薬を服用していると、効果が出にくくなってきたと感じる可能性はあります。これは、体内で薬への耐性がついたためではなく、髪の毛を生やす毛母細胞が加齢などにより劣化や減少してきてしまったためといえます。
ですから、たとえば「フィナステリドを服用していたけど、効き目が悪くなってきた」と感じられた場合には、毛母細胞を活性化する医薬品(たとえば、ミノキシジル)を併用する、ということを検討してみるのも一案でしょう。

AGAはご自身の体質や薬とは長くお付き合いしていく必要があります。薬の効果が出るメカニズムをしっかりと把握し、最大限の効果が出るように意識することが大切です。

薄毛でお悩みの方へ。あきらめない!薄毛・AGAは医療治療で!
この記事の監修医師
総院長

Dr.AGAクリニック総院長 岩槻 快樹

2019年 大阪市立大学医学部卒業
2019年 大阪市立大学医学部附属病院
2021年 医療法人杏和会 阪南病院
2022年 Dr.AGAクリニック大阪梅田院 院長就任
2024年 Dr.AGAクリニック 総院長就任

error_outline 当サイトのコンテンツはDr.AGAクリニック総院長 岩槻 快樹の監修により運営されております。