一般的に抗原抗体反応は異物に対して反応しますが、身体の細胞が何かしらの原因で異物と誤認されることがあります。
円形脱毛症などの自己免疫疾患を発症する場合、異物とみなされるものは毛母細胞です。
毛母細胞が異物と認識されると、Tリンパ球が毛母細胞を排除しようと攻撃を開始します。
その結果、毛母細胞が障害を受け髪の毛の産生が止まり成長期性脱毛症を発症します。
これを自己免疫反応といい、髪の毛だけではなく多くの臓器に発症する可能性があります。
髪の毛に自己免疫反応が見られた場合は、代表的な円形脱毛症だけではなく、それ以上に脱毛範囲が広がる多発融合型脱毛症や全頭型円形脱毛症などに発展する場合もあります。
以前の記事でもお話致しましたように、抜け落ちる髪の毛は正常な毛包です。
休止期毛包は毛母細胞が既に死んだ状態となっているため、そして白髪の場合は既に機能障害を起こしている異常毛包ですので、異物とみなされる事もなく、Tリンパ球の攻撃を受けない事となります。
そのため、円形脱毛症などの自己免疫反応を起こしたとしても、不完全脱毛斑や白髪が抜けないといった症状が起こります。