AGAの原因

AGAの原因は主に「ジヒドロテストステロン（DHT）」と呼ばれる男性ホルモンです。
そして、このジヒドロテストステロンがAGAを引き起こしていく過程においては「遺伝」の側面も影響が強くあるといわれています。
今回はこの2つに関連するもので、あまり聞きなじみのない「アンドロゲンレセプター」について深堀りしていきます。
男性ホルモンや遺伝がどう関わってAGAになっていくのか、その過程について解説します。

AGAに関係する2つの遺伝的要因

薄毛は遺伝するといわれていますが、AGAについて深堀りする際、とても重要な遺伝的要素がが2つあります。
それが「5αリダクターゼの量」と「アンドロゲンレセプターの感受性」です。
それぞれどんな影響を与えていくのか説明していきます。

ジヒドロテストステロンとアンドロゲンレセプター感受性の関連性

悪玉男性ホルモン　ジヒドロテストステロン（DHT）ができるまで

前述のとおり、ジヒドロテストステロンはAGAの主原因であり、いわば髪の毛の成長を阻害する元凶の悪玉男性ホルモンです。

ジヒドロテストステロンは、男性ホルモン「テストステロン」と人間の体内に存在する還元酵素「5αリダクターゼ」が結合することで生成されます。
この過程で重要な働きをする5αリダクターゼは、その量が人によって異なり、遺伝によって引き継がれます。これは遺伝的に5αリダクターゼを多く体内に持っていれば、ジヒドロテストステロンを産生しやすいということを意味します。

ただし、実はジヒドロテストステロンが生成されただけでは薄毛にはなりません。そこに影響してくるのが、この記事にメインテーマである「アンドロゲンレセプター」です。

アンドロゲンレセプターの感受性の影響

アンドロゲンレセプターは、毛乳頭という髪の毛の発生源となる場所に存在しており、ジヒドロテストステロンが血液によって運ばれてくると受け取る役割をしています。
こうして、この2つが結合すると、抜け毛の要因となる「トランスフォーミング増殖因子（TGF-β）」を産生します。すると、髪の毛の成長に重要な毛母細胞の働きが抑制され、ヘアサイクルが乱れて髪が弱く細い毛になってしまうのです。

このアンドロゲンレセプターがジヒドロテストステロンを受け取る感度のことを、「アンドロゲンレセプターの感受性」といいます。アンドロゲンレセプターの感受性が高ければジヒドロテストステロンと結合しやすくなるため、AGAを発症する確率が上がるということになります。

感受性の高さは遺伝子によって決定される

私たちの遺伝子は両親から半分ずつ受け継いでおり、性染色体は父親のY染色体と母親のX染色体を受け継いでいます。
そして、アンドロゲンレセプターの感受性を決める遺伝子は、母方のX染色体から受け継がれる可能性が高く、母方の遺伝に強く影響を受けるとされています。
これは自分の母親が薄毛かどうかだけでなく、母親の父が薄毛であれば、その遺伝を引き継ぐということになります。つまり隔世遺伝です。

ですから、自分の母方の祖父が薄毛であった場合、アンドロゲンレセプターの感受性が遺伝的に高く、薄毛になる可能性も大きくなるといえます。ただし、これはあくまで確率の話であり、必ず薄毛になるというわけではありません。

アンドロゲンレセプターの感受性は、遺伝子検査で調べられる

自分のアンドロゲンレセプターの感受性が高いのかどうか、「アンドロゲンレセプター遺伝子検査」というもので調べることができます。これにより、遺伝的にAGAを発症しやすいかどうかがわかります。

アンドロゲンレセプター遺伝子検査の方法は、採血が一般的です。ただし、特殊な検査内容になるため、どこの医療機関でも実施しているわけではありません。そのため、この検査を行っているクリニックを探す必要があります。

また、保険適用外の自由診療になるため、検査費用は患者様の負担になります。価格は医療機関によっても異なりますが、2万円前後になります。