AGA治療

ミノキシジルとは?効果や副作用、使用方法や注意点を解説

AGA治療

AGA(男性型脱毛症)を治療するうえで、ミノキシジルは効果に定評のある医薬品です。ただし、飲むタイプの内服薬と直接頭皮に塗るタイプの外用薬があり、使用にあたっては知っておくべき注意点があります。
そこで本記事では、ミノキシジルはどんな薬なのか、効果・副作用・使用方法・注意点などを解説します。

ミノキシジルとは

ミノキシジルは、もともとは血圧降下剤で、高血圧患者用の薬として開発されました。
しかし、臨床実験を行った結果、ミノキシジルを服用した患者に多毛症の症状がみられたため、AGAの治療薬として研究されはじめました。1980年代にはミノキシジル濃度2%の治療薬が開発され、現在ではAGA治療薬として90カ国以上で認可されています。

ミノキシジルの効果

ミノキシジルは、血管拡張作用によって頭皮に送られる血流を改善します。これにより、髪の成長に必要な毛母細胞が活性化され、毛乳頭が毛細血管から栄養を受け取りやすくなるため、発毛の促進が期待できます。
また、毛髪の成長に重要なホルモン「インスリン様成長因子1(IGF-1)」や血管の新生を促すタンパク質「血管内皮細胞増殖因子(VEGF)」の分泌が促進されることで、ヘアサイクルの延長も期待できます。毛母細胞の死滅(アポトーシス)を防ぐことでも、ヘアサイクルが改善されます。
実際に、男性被験者924名を対象としたシステマティック・レビュー(2%のミノキシジル液を24 週にわたって使用)では、プラセボ群と比べて、ベースラインより平均で 20.90本増加したことが報告されています。
こうした結果から、日本皮膚科学会が公開している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも、AGA治療に対してミノキシジル外用を強く勧めています。

ミノキシジルの効果はいつから出る?

ミノキシジルの効果は、使用してから3〜6ヶ月程度とされています。

効果が出るスピードには個人差があり、3ヶ月程度で効果が出る人もいれば、6ヶ月程度かかる人もいます。最低でも6ヶ月間、継続して使用し続けるとよいでしょう。

効果が感じられない場合、AGAではないなんらかの疾患にかかっていたり、ミノキシジルの効力が得られない体質だったりするケースがあります。

ミノキシジル製剤の種類と使用方法

ミノキシジルには、内服薬と外用薬の2種類があります。それぞれの使用方法は、以下の通りです。

使用方法
内服薬毎日決まった時間に、1日1回服用する。
外服薬朝晩などに、脱毛箇所に1日1~2回塗布する。

内服薬は、体内の血中から効果を発揮するため、外用薬より効果が期待できるとされています。
服用するタイミングの指定はありませんが、自身が服用しやすい時間帯を決め、最低6カ月は継続しましょう。

外用薬は、薬を塗布した部分にのみ、発毛・育毛・脱毛抑制の効果が得られるのが特徴です。有効成分のミノキシジルが皮膚に浸透し、毛根に行き渡ることで効果を発揮します。
特定の箇所に対し、集中的に治療を行いたい場合は、外用薬が適しているといえるでしょう。

ミノキシジルを使用する際の注意点

ミノキシジルを使用する際は、以下2つのことを注意しなければなりません。
注意事項を守らないと副作用が出たり、期待した効果が得られなかったりする可能性があります。ミノキシジルを使用する際は、注意事項を必ず守りましょう。

禁忌事項を確認すること

ミノキシジルには外用薬と内服薬がありますが、それぞれ使用禁忌があります。
以下の項目に該当する人は使用できません。

ミノキシジル外用薬の使用禁忌

  • AGA以外の脱毛症の人
  • アレルギー症状を起こしたことがある人
  • 頭皮に傷、湿疹、炎症等がある人

ミノキシジル内服薬の使用禁忌

  • AGA以外の脱毛症の人
  • アレルギー症状を起こしたことがある人
  • 心臓や肺、血管などの循環器に既往や疾患がある人

頭皮に炎症や傷がある人、円形脱毛症などのように抜け毛の原因がAGAではない人は、炎症の悪化や治療効果が得られない場合があります。使用を控えましょう。

また、心臓や肺、血管などの循環器に既往や疾患がある人は、副作用が出た際に、重篤な症状に発展する可能性があります。過去にミノキシジルでアレルギーを起こした経験のある人も使用を控えましょう。

使用前に必ずクリニックで相談すること

ミノキシジルはドラッグストアなどでも市販されていますが、自分に合った治療法の選択や副作用への対応を考慮に入れると、まずはクリニックで医師に相談することをおすすめします。
価格の安さから特にミノキシジルの内服薬で個人輸入を考える方もいますが、偽造品や粗悪品が届く可能性もあり、医師でも製造元の確認が難しいほどに見極めは困難です。
また、日本には医薬品が原因で重い副作用が発生した場合に給付金の申請が行える「医薬品副作用救済制度」がありますが、個人輸入した薬による副作用は対象外となってしまいます。
個人輸入したAGA治療薬を服用した方が、不安を覚えてクリニックを訪れるケースも出てきています。本来であれば負わなくてよいリスクなので、医療機関にて安全性が確認されているミノキシジルの処方を受けましょう。
参照:厚生労働省|医薬品副作用救済制度の概要と制度への協力のお願いについて

ミノキシジルの副作用

ミノキシジルには以下のような副作用があります。

初期脱毛や頭痛・めまい・むくみなどは、外用薬・内服薬に共通する副作用です。また、皮膚炎に関しては直接塗布する外用薬に起こりやすく、動悸・息切れ・多毛症・肝機能障害・心疾患は内服薬で起こりやすいと考えられます。それぞれ詳しく見ていきます。
参照:ミノキシジル外用薬添付文書

初期脱毛

ミノキシジルを使用してから2~8週間程度の頃に、初期脱毛が起こることがあります。「休止期脱毛」とも呼ばれており、新しい髪の毛の成長とともに古い髪の毛が押し上げられるように起こる脱毛現象です。
髪には、抜けては生えてを繰り返す「ヘアサイクル」があります。ヘアサイクルには「休止期」「成長期」「退行期」があり、約2〜6年を1サイクルとして繰り返します。
・休止期:髪の毛の成長が止まり抜け落ちる期間
・成長期:髪の毛が活発に成長する期間
・退行期:髪の毛の成長が鈍化し、毛根が小さくなっていく期間
AGAになるとこの期間が数カ月〜1年ほどと短くなり、髪の毛が成長しきる前に抜け落ちてしまいます。
ミノキシジルを含む治療薬を使用するとヘアサイクルが正常な状態に戻りはじめるため、古い髪の毛を押し出すように新しい髪の毛が生えてきます。このときに生じるのが初期脱毛です。
初期脱毛は、正しいヘアサイクルで成長する髪の毛が新しく生えてくるサインであるため、多くの場合は心配しすぎる必要はありません。

皮膚炎

皮膚炎とは、さまざまな皮膚トラブルの総称で、主に以下のような症状があります。

発赤(ほっせき)皮膚や粘膜の一部が赤くなること
落屑(らくせつ)乾燥した皮膚の表層が角質片となって、フケのようにはがれ落ちること
そう痒感(そううようかん)発疹や湿疹がないのに、皮膚にかゆみが出ること
毛包炎(もうほうえん)毛穴の奥にある毛根を包んでいる部分(毛包・毛嚢)に起こる炎症

皮膚トラブルが起こった場合は、すみやかに皮膚科を受診してください。

動悸・息切れ

ミノキシジルを服用すると、ドキドキするような動悸や、息苦しさ、息切れを起こすこともあります。ミノキシジルの血管拡張作用によって血圧が下がり、心臓がより活発に動いてしまうためです。
動悸や息切れの症状が続く場合は、すみやかに医療機関を受診してください。また、これらの症状が起こりやすい心臓の疾患がある人や血圧の薬を服用中の人は、ミノキシジルを服用する前に専門医に相談しましょう。

頭痛・めまい

ミノキシジルの血管を拡張する作用で毛細血管が拡張すると、頭痛が生じる可能性があります。また、血流の低下によって血圧が著しく低下することで、めまいも併発する可能性があるでしょう。
少しでも症状を感じた場合は、すみやかに医療機関を受診してください。

むくみ

手足や顔などの末端がむくむことがあります。ミノキシジルによって末梢血管が拡張すると、血液量が減ったと体が認識して血液を増やそうとします。その結果、血液が過剰に作られ、むくみの症状が発生する可能性があるのです。
むくみの症状は放っておかず、すみやかに医療機関を受診してください。

多毛症

ミノキシジルの内服薬を服用すると、全身に作用するため体毛も増えてしまうことがあります。また、外用薬の場合には塗った部分に近い顔に毛が生えやすくなります。
ミノキシジルの効果が出ている証拠でもあるのですが、気になる場合は医師に相談して他の治療法に変更するとよいかもしれません。

肝機能障害

ミノキシジルは、肝臓で代謝されることで効果を発揮するため、服用するとまれに肝機能障害を起こすことがあります。
肝機能障害の自覚症状としては、全身がだるくなる・むくみ・皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)・かゆみなどがありますが、症状をまったく感じないという場合も多いです。肝機能障害は血液検査で判定できるため、健康診断でも確認できます。
血液検査で肝機能を指摘された場合は、早めに専門医に相談しましょう。また、自覚症状が現れた場合はすみやかに医療機関を受診してください。

心疾患

ミノキシジルは全身の血管を拡張させますが、その結果、心筋梗塞・心不全・狭心症・不整脈といった心疾患の症状が現れることがあります。また、動悸・息切れ・頭痛・めまいなどの軽微な症状から、まれに重症化するケースもあります。
これらの異変が続く場合は、すみやかに医療機関を受診してください。

ミノキシジルの副作用が改善しないときの対処法

ミノキシジルを使用中、副作用が改善されない場合は、用法・用量が正しいかを確認してください。たとえば、過剰に薬を服用していたり、過剰に塗布したりすると、副作用も重くなってしまいます。
用法・用量を守っているにもかかわらず、副作用が出続ける場合は、すみやかに医療機関を受診してください。
また、めまいや頭痛、動悸や息切れなどの軽い症状であったとしても、長期間放置すると重篤化し、取り返しのつかない状態に発展する可能性があります。処方時に医師から受けた説明以上の異変を感じた、すぐに専門医に診てもらいましょう。

ミノキシジルに関するよくある質問

最後に、ミノキシジルに関するよくある質問をまとめました。該当する内容がないか、確認しておきましょう。

Q.ミノキシジルは安全?

ミノキシジルの外用薬は、「医薬品医療機器等法」に則って、厚生労働省の認可を受けた薬です。そのため、安全性・有効性の高い薬といえるでしょう。
一方、ミノキシジルの内服薬は、国内の認可が下りていません(2024年8月現在)。ただし、未承認薬であるから違法というわけではなく、医師による診察を経て、起こりうる副作用の説明をきちんと行えば、処方することが認められています。
薬についてきちんと理解をしたうえで、使用するかどうかを検討しましょう。

Q.ミノキシジルにジェネリック医薬品はある?

ミノキシジルでジェネリック医薬品が存在するのは外用薬のみになります。ミノキシジルの内服薬は、国内の認可が下りておらず、先発薬が存在しないため、ジェネリック医薬品もありません。
ちなみに、ミノキシジル外用薬のジェネリック医薬品は濃度によって価格差があり、1本あたり約4,000〜8,000円ほどである場合が多い傾向にあります。先発薬の相場は5,000〜13,000円が多いため、ジェネリックだと約1,000〜5,000円ほど安くなるでしょう。

Q.ミノキシジルが効かない人はいる?

人によって、有効成分のミノキシジルが体質に合わない場合があります。そのような人は、効果が期待できないケースもあるでしょう。
ただし、その場合には、他のAGA治療薬やサプリメントなどを用いる方法もあります。ぜひ、クリニックでご相談ください。
参照:AGA治療薬の種類

Q.ミノキシジルの使用をやめるとどうなる?

ミノキシジルをやめた場合、AGAが再発して薄毛が進行する可能性があります。状況によって使用の中止を検討した方がいい場合もありますが、副作用などに問題がなければ、継続して使用することで効果が得やすくなるでしょう。
参照:ミノキシジルをやめてよかった?やめるタイミングや注意点についても解説

Q.ミノキシジルの外用薬だけで効果は出る?

効果が出る可能性もありますが、内服薬に比べ、外用薬の方が効果の現れ方が薄いといわれています。より高い効果を得るためには、内服薬と外用薬を併用することがおすすめですが、治療法については必ず医師と相談のうえ、検討しましょう。

薄毛でお悩みの方へ。あきらめない!薄毛・AGAは医療治療で!
この記事の監修医師
総院長

Dr.AGAクリニック総院長 岩槻 快樹

2019年 大阪市立大学医学部卒業
2019年 大阪市立大学医学部附属病院
2021年 医療法人杏和会 阪南病院
2022年 Dr.AGAクリニック大阪梅田院 院長就任
2024年 Dr.AGAクリニック 総院長就任

error_outline 当サイトのコンテンツはDr.AGAクリニック総院長 岩槻 快樹の監修により運営されております。