脱毛症などの治療薬として処方される外用液の中のひとつにフロジン外用液という塗り薬があります。今回このフロジン外用液の薄毛に対するどのような効果があるのかや使用上の注意、副作用などについて詳しくお話していきます。
フロジン外用液の特徴とは
フロジン外用液とは「カルプロニウム塩化物」を主成分に含んでいる薬剤で緑色の液体という少しびっくりする見た目の色をしています。円形脱毛症や尋常性白斑、脱毛症の治療に用いられる薬剤で発毛促進剤と局所血管拡張剤として使用されています。AGA治療薬の中には男性しか使えない薬もあり治療薬の選択肢が少ない中、フロジン外用液は女性もお使いただけます。
フロジン外用液の効果
フロジン外用液の主成分である「カルプロニウム塩化物」は頭皮の血管を拡張する作用があります。これにより血流を改善し髪の毛の成長に必要な栄養と酸素を届けることで、発毛を促進する効果があります。フロジン外用液は血管拡張作用のみでありAGA治療で使用されているミノキシジルのような発毛作用はないため効果を比べると劣ってしまいますが、その分副作用も少ないお薬となっています。カルプロニウム塩化物はフロジン外用液の後発医薬品であるアロビックスという薬にも含まれています。
多発性円形脱毛症を含む円形脱毛症・悪性脱毛症・びまん性脱毛症・壮年性脱毛症(AGA)など幅広い脱毛症に適応があります。
効果の出方には個人差がありますが、使用後すぐに効果は出ずだいたい数ヶ月~半年で効果を感じてくるケースが多いようです。
円形脱毛症や女性の薄毛にもフロジン外用液は有効?
では円形脱毛症の治療薬としてのフロジン外用液の有効性をみていきます。
日本皮膚科学会が策定した『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版』というガイドラインから引用すると、使用の推奨度はC1の行ってもよいランクに位置付けされており、それほど高い推奨度ではありませんが、単発型および多発型の症例に併用療法の一つとして行ってもよいとされています。併用してはいけない薬がないことから内服などのほかの治療法とフロジン外用液を併用することで、効果が期待されることがわかります。
AGA治療で使用される薄毛治療薬は男性ホルモンに作用する薬があるため、治療薬の中には女性に使用できない薬もあります。しかし、フロジン外用液は女性にも効果が期待できる治療薬の選択肢のひとつとなっています。ただし妊娠中の方や授乳中の方を対象とした臨床試験を実施していないため、妊娠中の方や授乳中の方に使用する場合は、症状や治療上の有益性、予想されるデメリットなどに配慮しながら使用の可否を判断します。
フロジン外用液の使い方
フロジン外用液の使用方法と注意点をお伝えします。
脱毛症・乾性脂漏の場合・・・1日に2~3回、適量を脱毛している部分に塗布し軽くマッサージします。
尋常性白斑の場合・・・1日に3~4回適量を塗布します。
1回あたりの使用量は約1mlです。
使用上の注意点として以下があります。
・目に入るとしみるため目に入らないように注意して塗布してください。もし誤って目に入った場合はすぐに清潔な水で洗い流してください。
・塗り忘れに気づいた場合は、気が付いたときに1回分を塗布します。ただし、次の塗布時間が近ければ塗り忘れた1回分はスキップしてください。2回分を1度に使用しないように注意してください。
・薬剤作用によって塗った直後に全身の発汗やそれに伴う悪寒・戦慄・嘔気・嘔吐などがあらわれることがあります。その場合は使用を中止して塗布した部分を水で洗い流してください。
フロジン外用液の副作用について詳しく知ろう
フロジン外用液の副作用として局所の発汗やそう痒感、一過性の発赤、刺激痛、熱感などが起こる可能性があります。副作用の発症の確率は極めて低いといわれていますが、もし使用中に副作用が見られた場合は使用を中止して水で洗い流し、早めに医師に相談してください。
またシャワー後や入浴後など血流が良くなっている時に使用すると副作用が強くあらわれることがあります。入浴後に使用する際は、頭皮のほてりが冷めてからの使用をおすすめします。
フロジン外用液の入手方法は?
フロジン外用液の処方について
フロジン外用液はカルプロニウム塩化物が5%含まれており、この濃度のものを購入するには専門医の診察を受け医師の処方箋が必要です。円形脱毛症や白斑症の治療薬として処方する際には保険が適応されます。しかし、AGA治療は保険適応ではないため自由診療の価格になります。
個人でフロジン外用液を手に入れる方法
フロジンの成分にあるカルプロニウム塩化物を育毛剤として含んでいる市販薬(カロヤン)はドラッグストアなどで購入することはできます。しかし市販薬に含まれるカルプロニウム塩化物水和物の濃度は1~2%にすぎません。フロジン外用液にはカルプロニウム塩化物が5%含まれていることから市販薬の濃度の低さがわかります。
またフロジン外用液の後発医薬品を個人輸入で比較的安価で入手し購入できるようですが、個人輸入した医薬品を自己判断で使用した場合、副作用が起こっても国による「医薬品副作用被害救済制度」の救済措置が受けられないことを知っておきましょう。また他の成分が混入していたり偽物である可能性もあるので、しっかりと医師の診察を受けたうえで購入するようにしましょう。