喫煙と抜け毛の関係について知ろう
喫煙は肺がんをはじめ、多くのがんや、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患などのリスクが高まるといわれていますが、薄毛にも影響することをご存知でしょうか。
薄毛の原因は主にジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンが、毛乳頭や毛母細胞を攻撃しヘアサイクルが乱れることによって引き起こされます。但しこの男性ホルモンは誰しもが体内に持っているものですが、薄毛になる人とならない人がいるのは、遺伝や生活習慣の違いが関係しています。
喫煙もその中の一つであり、タバコを吸うことによって薄毛のリスクが高まってしまいます。遺伝的な要因は自分では回避することが出来ませんが、生活習慣については自分で改善できる要因です。
特に近親者に薄毛の方が多く、タバコを吸う習慣がある人は注意が必要です。こちらの記事では、喫煙と薄毛・抜け毛の関係性について解説致します。
喫煙と薄毛の深い関わり
タバコは頭皮の血流を悪化させる
喫煙者の方はタバコを勢いよく吸った時にクラクラとした経験がある方も多いのではないでしょうか。タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮する作用があります。タバコを吸いニコチンが体内に取り込まれると、身体の隅々まで血管が収縮してしまいますので、酸素が十分に体内を巡ることができずにクラクラとした症状が現れます。
血液からは髪の毛が成長するために必要な栄養素も運ばれますので、タバコを吸い頭皮の毛細血管が収縮されると、毛母細胞へ十分な栄養が供給されなくなってしまい、髪の毛の成長にも悪影響を及ぼしてしまいます。
また薄毛治療で使用される発毛薬のミノキシジルは、血管を拡張し血流を良くすることで発毛を促進する効果がありますが、タバコを吸って血管が収縮し血流が悪くなることは逆効果となってしまうため、薬の効果も十分に発揮されません。
タバコは男性ホルモンの増加につながる
1994年に公開されたハーバード大学による研究結果によると、喫煙者と非喫煙者の中年男性1241名を比較した際に、喫煙者の体内では男性ホルモンの濃度が高くなることが分かりました。その研究結果によるとAGAの原因となるジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンの濃度が、喫煙者は非喫煙者に比べて14%高いことが判明しています。
ジヒドロテストステロン(DHT)は毛乳頭細胞にあるアンドロゲンレセプターと呼ばれる受容体と結合することで、脱毛の信号を発しAGAが進行します。アンドロゲンレセプターの感受性は遺伝的な要因が強いため、ジヒドロテストステロンが増加することで必ずしもAGAが進行する訳ではありませんが、元々遺伝的にAGAのリスクが高い場合には注意が必要です。
またAGA治療で使用される進行を予防する薬のフィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)には、ジヒドロテストステロンの生成を抑制する作用がありますが、タバコを吸うことでジヒドロテストステロンが生成されやすい状態になってしまうと逆効果となり、薬の効果も十分に発揮されません。
薄毛治療には禁煙が必要
前述の通りタバコを吸うことによって血行が悪くなり髪の毛の成長が阻害されてしまったり、AGAの原因となる男性ホルモンの濃度が上昇し、薄毛を引き起こす可能性があります。
また薄毛治療で使用される薬も喫煙によって十分な効果を発揮することができなくなるなってしまいますので、身体の健康面だけでなく薄毛を防ぐためにも禁煙することをオススメします。
但しすでにAGAを発症している場合、タバコを止めたことで血流が良くなり髪の毛が生えてくるといった訳ではありません。またストレスが薄毛が進行する要因となることもあり、タバコを止めたことによるストレスで薄毛が進行する可能性もあります。
禁煙をすることで過度なストレスを感じる場合は、徐々に本数を減らしたり、禁煙外来に通い専門医の指示の元で禁煙を開始するなど、無理のないペースで禁煙をしましょう。