リジン(リシンともいう)は体内では合成できない必須アミノ酸の1つで、その中でも最も不足しやすいアミノ酸です。
市販の育毛剤や育毛サプリに配合されていることも多く、薄毛でお悩みの方は耳にされたこともあるかもしれません。
そんなリジンは本当にAGAに効果があるのか、こちらの記事で解説致します。
リジンはAGA治療に効果ある?
AGAは、人間の体内に存在する還元酵素「5αリダクターゼ」と男性ホルモン「テストステロン」が結合して、「ジヒドロテストステロン(DHT)」が生成されるために起こる脱毛症です。
これに対して、リジンには髪の毛の材料となるタンパク質を生成する作用があり、丈夫で健康な髪の毛を育てる効果が期待できますが、AGAの原因であるジヒドロテストステロンを抑制する効果はありません。
AGAの発症前に薄毛予防を目的としてリジンを摂取することは効果的ですが、既に薄毛が進行している場合にはリジンだけで症状を改善することは難しい、というわけです。
そこで薄毛の原因であるジヒドロテストステロンを抑制しながら、すでに薄くなっている部分に発毛を促進するアプローチが必要となります。実はリジンは、フィナステリドなどの5αリダクターゼを阻害する薬や、ミノキシジルなどの発毛が期待できる薬の効果を促進させることがイギリスの製薬会社による研究によって明らかにされています。つまり、リジンをAGA治療薬と併用することで、より良い症状改善は見込めるのです。
リジンとは
リジンとは体をつくる20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種の必須アミノ酸の一つです。体内で合成することができないため、食べ物やサプリメントなどでしか摂取することができません。
⽣体のタンパク質中に2〜10%含まれており、世界保健機関(WHO)によるリジンの1日摂取目安量は2.1gです。
抗体やホルモン、酵素などの構成成分として利⽤され、体の組織を修復し成長に関わる働きがあります。植物性タンパク質(特に穀類)には含量が低く、⽋乏すると成⻑障害を起こすことがあります。また必須アミノ酸をバランスよく含んでいるタンパク質を「良質タンパク質」といいます。
リジンの主な効果は以下のとおりです。
疲労回復、集中力を高める
脳や筋肉、内臓などのエネルギー源となるブドウ糖が不足すると、身体がエネルギー不足となり疲労を感じやすくなったり、集中力が低下してしまいます。
リジンにはブドウ糖の代謝を促進するため、スムーズにブドウ糖をエネルギーに変換する役割を担っています。
疲労回復や集中力を高めるためにはブドウ糖の摂取が大切ですが、ブドウ糖を過剰に摂取すると中性脂肪が増え、肥満や生活習慣病になる恐れがあります。
ブドウ糖だけでなく、リジンの摂取も行うことで、効率よくエネルギーに変換されますので、疲労回復や集中力の向上に役立ちます。
肝機能を高める
中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解し、脂肪を消化する酵素であるリパーゼの働きを促進する効果がリジンにはあります。
リジンが不足するとリパーゼの働きが弱まってしまうため、血中の飽和脂肪酸やコレステロールが増えやすくなってしまいます。
リジンには肝臓に活力を与え、リパーゼの働きを促進し肝機能を高めてくれる働きがありますので、アルコールを良く飲む方はリジンが不足しないようにバランスの良い食生活を心掛けましょう。
ただし、サプリメントなどでリジンを大量に摂取すると、腎機能障害を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。
ヘルペスの予防・改善
ヘルペスウイルスはアルギニンというアミノ酸を栄養として増殖します。
リジンにはアルギニンを抑制する働きあるため、リジンを含んだ食物を摂ることで、ヘルペスウイルスの活動を抑制する効果が期待できます。
また一度ヘルペスウイルスに感染すると、再発症状を繰り返す方も多く、リジンの摂取により再発のリスクを軽減することができます。
育毛効果
髪の毛はその90%以上がケラチンと呼ばれるタンパク質から作られています。
ケラチンはリジンを含む18種類のアミノ酸から形成されており、他の種類のアミノ酸をいくら摂取しても、リジンが不足しているとケラチンは生成することができません。
リジンを摂取することは髪の毛の素となるケラチンを生成することに繋がりますので、間接的に髪の毛の成長が促進され、切れ毛が減り、髪のハリやコシが良くなるなど育毛に効果的です。
また薄毛治療(AGA治療)をされている方は、発毛薬であるミノキシジルと併用することで、生えてくる髪の毛を太く強く育てる効果が期待できますので、リジンを積極的に摂取すると良いでしょう。
リジンが多く含まれる食品
リジンは体内で生成することができないため、食べ物から摂取する必要があります。
肉や魚、ピーナッツなどの豆類、湯葉や高野豆腐といった大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品に多く含まれており、米や小麦、とうもろこしなどの穀類はリジンが少ない傾向にあります。
食品 | 100g当たりのリジンの量 |
かつお削り節 | 6500mg |
干しだら | 6400mg |
かたくちいわし | 6000mg |
ビーフジャーキー | 4600mg |
いかなご | 3600mg |
豚ヒレ肉 | 3500mg |
しらす干し | 3500mg |
湯葉 | 3500mg |
若鶏肉・胸肉 | 3400mg |
パルメザンチーズ | 3400mg |
豚もも肉 | 2800mg |
牛もも肉 | 2800mg |
ゴーダチーズ | 2700mg |
べにざけ | 2600mg |
若鶏肉・もも肉 | 2600mg |
リジンを多く含む食品は上記の通りですが、含有量と実際に吸収できる量は異なります。
他の栄養素との消化・吸収のタイミングが重なると、一部吸収できないリジンが発生します。
確実にリジンを補給するためには、サプリメントを利用することも有効な手段の一つです。