人の髪の毛は自然に生え変わりが起きているため、日常的に抜け毛を目にすると思います。
しかし季節によっては抜け毛がいつもより多く感じられる時期があるはずです。そういったタイミングでこのまま薄毛になってしまうのではないかと不安になる方もいるでしょう。
そこでこの記事では抜け毛が増える換毛期についてやそれ以外の危険な抜け毛の特徴について詳しく解説します。
自分の抜け毛の状態に問題がないかチェックするための参考にしてください。
抜け毛が増える換毛期のメカニズムとは
換毛期とは動物にみられる抜け毛が増える時期
犬や猫などの動物ほとんどにみられる毛の生え変わりの時期を「換毛期」と呼びます。主に春と秋に訪れ、1ヶ月くらいかけて大量の毛が抜け落ちたり新しい毛が生えてきたりします。人間の衣替えのようなもので、汗をかくことができない動物にとってこの時期に換毛することで体温を調節します。
人間の換毛期も春と秋に訪れる
私たち人間は衣服や発汗で体温の調節ができるため換毛期が必要ではありませんが、遺伝子の名残が影響して動物と同じく春と秋に髪の毛の抜け毛が多い時期といわれています。ただし人間の換毛期は体温調節するために換毛期が起きるわけではないため、なぜ抜け毛の量が増えるのか原因をみていきます。
換毛期における抜け毛の増加原因
抜け毛が増える原因は春と夏で異なるのですがそれぞれの原因は何でしょうか?
春は新年度の始まりで、進学や就職・転勤といった新しい生活がスタートする季節です。今までの環境とがらっと変わると慣れない生活に少なからずストレスがかかります。また春は花粉症に多くの人が悩まされる時期でもあります。このような生活環境の変化や花粉症により、ホルモンバランスに変化が起きたり自律神経が乱れることで抜け毛の増加を招くことがあります。
秋は夏に受けたダメージが表面化してくることによります。頭皮が夏の最も強い紫外線を浴び続けたり、夏バテによる疲労や栄養不足、汗や皮脂により頭皮環境の悪化などが抜け毛の増加に影響してきます。特に秋は抜け毛が一番多い季節といわれており、通常の2~3倍増えることもおかしくありません。
換毛期の平均的な抜け毛の量
人の髪の毛の全体量は10万本程度生えており、1日に平均50~100本毛が抜けるといわれています。また1日あたりの抜け毛の全本数のうち、約6割程度(30~60本)はシャンプー中に生じます。抜け毛が100本という数字を聞くとすごく多いように感じますが、全体が10万本あるため約0.1%程度となります。
では換毛期の抜け毛量ですが、1日にだいたい200~300本に増えるといわれています。通常の2~3倍増えるのでびっくりすると思いますが、自然現象ですので深く心配する必要はないでしょう。およそ1~2ヶ月程度で換毛期の抜け毛が落ち着いてこれば問題はないです。
換毛期でも注意が必要な抜け毛の特徴
換毛期に髪の毛が抜けることは、自然なことだとお分かりいただけたかと思います。ただし、「換毛期の抜け毛だ」と思っていたら、実は注意が必要な抜け毛だったというケースもあります。
では、注意が必要な抜け毛は換毛期の抜け毛とどう違うのか、その特徴をみていきましょう。
見た目が細く短い抜け毛について
正常な成長過程を終えて抜ける髪の毛は太くて長い毛に成長しているので、細くて短い髪の毛というのは成長しきっていない途中で抜けてしまった毛ということになります。これはヘアサイクルが乱れて、成長期が短くなった細い短い髪の毛が抜けている可能性が高くなります。ヘアサイクルの乱れが起こる原因として、食生活の乱れや睡眠不足などの生活習慣からAGAの原因である「ジヒドロテストステロン」がヘアサイクルに影響している可能性もあります。
シャンプーやドライヤー後の抜け毛が続く
1日に抜ける髪の毛のうちシャンプー中に約6割程度が抜けるとお伝えしましたが、これは抜け毛の量の変化を見つけることができるタイミングにもなります。換毛期の脱毛であれば1~2ヶ月で落ち着いてくることが多いので秋の換毛期であれば冬には脱毛量が減っていることになります。しかし冬になっても1日の抜け毛量が200~300本ほどあるようであれば換毛期以外の脱毛が考えられます。
抜け毛の範囲について
換毛期の抜け毛は頭髪全体にみられます。部分的な脱毛や薄毛が見られるようであればAGAや円形脱毛症の可能性があります。AGAの特徴として前額部や頭頂部に「M字」や「O字」に薄毛症状が見られます。円形脱毛症であれば脱毛の境界線が明らかであり、頭部に1カ所~数か所に円形または楕円形の脱毛がみられる特徴があります。
換毛期におすすめの抜け毛対策方法
自然に抜ける時期とはいってもボリュームダウンなどにもなるため、なるべく髪の毛が抜ける量は減らしたいですよね。抜け毛の対策方法をお伝えするので、換毛期に備えて対策していきましょう。
シャンプーの仕方を見直す
正しいシャンプーの方法をいま一度見直してみてください。
・お湯の温度は熱すぎない38~40℃
・予洗いでしっかりと頭皮を濡らす
・シャンプーは手のひらで泡立ててから頭皮に付ける
・爪を立てずに指の腹で頭皮をマッサージするように洗う
・シャンプー液が残らないようにしっかり洗い流す
・塗れたままにせずタオルドライ後、ドライヤーで乾かす
また1日に2回以上シャンプーをすると頭皮の皮脂を取り除きすぎてしまい、乾燥を招いてしまうためシャンプーを使用しての洗髪は1日1回が理想です。
生活習慣の影響
健康な髪の毛の成長には食生活、睡眠、運動が大切になってきます。
食事は髪の毛の栄養素になる「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」を意識して摂取しましょう。糖質や脂質の多い食事は髪の毛の成長に影響を及ぼすことがあるため、なるべく控えるようにしたほうが望ましいです。食生活を整えることが難しければ、サプリメントやプロテインで補うこともできます。
睡眠不足は髪の成長を促す成長ホルモンの分泌量が減少するといわれており十分に成長していない髪の毛が抜けたりします。食事は寝る3時間前までに済ませ、スマホやパソコンはできれば寝る2時間前から使用を控え部屋を暗くして入眠体制を整えるのがベストです。
運動不足は血流の流れが悪くなり頭皮に十分な栄養が行き届かなくなり髪の毛が抜けやすくなります。ジョギングやウォーキングを取り入れてみたり、運動習慣が作れない方は日常使用しているエスカレーターやエレベーターではなく階段を使ってみてはいかがでしょうか。
AGA治療
何らかの脱毛症を発症している場合には、上記の様な対策を行っても改善が難しいかもしれません。
大量の抜け毛が続く方、細く短い毛が抜ける方、明らかに髪のボリュームが少なくなっている方などは、自分に合った抜け毛対策を見つけるために、専門の医療機関を受診することをオススメ致します。
医療機関での治療には、大きく以下の4つの方法があります。
- 内服薬
- 外用薬
- 注入療法
- 植毛
内服薬、外用薬のいずれか、または両方を用いて治療することが第一の選択肢となります。
早い方では治療開始から3ヶ月ほどで毛髪の変化を実感できます。またより早く、そしてより高い効果を期待する方には、頭皮に発毛因子を注入する注入療法も効果的です。
投薬治療で回復が見込めない場合には、薄毛部位に頭皮組織または人口毛を移植する植毛手術が有効な手段となります。