AGA治療

フィナステリドとは?効果・副作用・飲み方・注意点をわかりやすく解説

AGA治療

AGA(男性型脱毛症)を治療するうえで、フィナステリドは効果に定評のある医薬品です。ただし、使用するにあたって、知っておくべき注意点もあります。
そこで本記事では、フィナステリドがどんな薬なのか、効果・副作用・飲み方などを解説します。

そもそもフィナステリドとは

フィナステリドは、AGA治療薬「プロペシア」の主成分です。
当初は前立腺肥大症の薬として開発されましたが、服用患者の髪が増える事象がみられたため、AGAの治療薬として改めて開発されました。

ちなみに、プロペシアは先発薬の製品名であり、フィナステリドは成分名ですが、現在では後発薬(ジェネリック医薬品)の製品名としても「フィナステリド」が用いられています。

フィナステリドの効果

フィナステリドは、人間の体内に存在する還元酵素「5αリダクターゼ」Ⅱ型の働きを阻害して、男性ホルモン「テストステロン」との結合を防ぐことで、「ジヒドロテストステロン(DHT)」が生成されることを抑制します。これにより、抜け毛の要因となる「トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)」の産生を抑えられるため、脱毛の抑制が期待できます。

実際に、日本人の男性被験者414 名を対象に頭頂部の写真撮影による効果判定を行った試験(フィナステリドを48週にわたって1日あたり0.2mgまたは1mg投与)では、0.2 mg/日投与で54%、1 mg/日投与で58%に軽度改善以上の効果がありました。

また、引き続き 1 mg/日の投与を継続した試験において、2年間で68%、3年間で78%の症例で軽度改善以上の効果が得られました。

こうした結果から、日本皮膚科学会が公開している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも、成人男性のAGA治療に対してフィナステリド内服を強く勧めています。

フィナステリドの服用方法

フィナステリドは、1日1回服用する必要があります。食後や食前など飲むタイミングに指定はありませんが、体内のフィナステリドの濃度を一定に保つために、毎日決まった時間に水や白湯で飲むことが大切です。

フィナステリドは肝臓で代謝されるため、アルコールやグレープフルーツジュースなど肝臓の働きに影響がある食品との飲み合わせに注意が必要です。アルコールはフィナステリドと同じく肝臓で代謝されるため、肝臓の負担になります。また、グレープフルーツジュースは肝臓の代謝酵素の働きを阻害する作用があるため、フィナステリドの効果や副作用が強く出てしまう可能性があります。

普段の食事で飲み合わせなど気になることがある場合は、担当医に確認しておきましょう。

フィナステリドを服用する際の注意点

フィナステリドを服用する際の注意点は以下の3つです。
体の不調や服用中の薬がある場合には、フィナステリドを使用できないことがあります。

禁忌事項を確認すること

フィナステリドに含まれる成分でアレルギー症状を起こしたことがある場合、再び服用することで以前より重いアレルギー症状を引き起こすことがあります。フィナステリドには乳糖などの添加物も含まれているため、今まで薬や食べ物でアレルギー症状を起こしたことがある方は、服用前に医師や薬剤師に相談してください。

また、女性と子どもは使用できません。フィナステリドには男性ホルモンの働きを抑制する作用があるため、特に男児を妊娠中またはその可能性のある女性が服用すると、胎児の生殖器に異常を起こす恐れがあると警告されています。授乳中の女性が服用すると母乳に移行し、それを飲んだ乳児に影響が出る可能性があります。

さらに、フィナステリドは皮膚からも吸収されます。錠剤はコーティングされていますが、半分に割ったり粉々に砕いたりしたものを触ってしまうと、服用した場合と同じような副作用が起こります。
女性や子どもが誤って触れてしまわないよう、保管場所に注意することが重要です。

参考:厚生労働省|プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について

薬の飲み合わせに注意すること

併用できない薬はありませんが、「CYP3A4阻害薬」との飲み合わせには注意が必要です。CYP3A4とは、肝臓や小腸にある酵素のことで、医薬品を代謝する働きがあります。CYP3A4阻害薬はその代謝を阻害する働きがあるため、フィナステリドと一緒に服用すると薬の代謝が悪くなり、フィナステリドの血中濃度が高まるほか、腎機能の低下を招いてしまうかもしれません。

CYP3A4阻害薬は以下のような種類があります。

  • サキナビル
  • リトナビル
  • イトラコナゾール
  • クラリスロマイシン
  • エリスロマイシン
  • フルコナゾール

上記の薬だけではなく、常用薬や他の治療薬を飲んでいる場合も、必ず専門医に薬を服用中であることを相談しておきましょう。

服用前に必ずクリニックで相談すること

フィナステリドを購入・服用する際は、まずクリニックで医師に相談することをおすすめします。
価格の安さからフィナステリドの個人輸入を考える方もいますが、偽造品や粗悪品が届く可能性もあり、医師でも製造元の確認が難しいほどに見極めは困難です。

また、日本には医薬品が原因で重い副作用が発生した場合に給付金の申請が行える「医薬品副作用救済制度」がありますが、個人輸入した薬による副作用は対象外となってしまいます。

個人輸入したフィナステリドを服用した方が、不安を覚えてクリニックを訪れるケースも出てきています。本来であれば負わなくてよいリスクなので、医療機関にて安全性が確認されているフィナステリドの処方を受けましょう。

参照:厚生労働省|医薬品副作用救済制度の概要と制度への協力のお願いについて

フィナステリドの副作用は?

AGAによる脱毛を抑制する効果が期待されるフィナステリドですが、副作用にも注意が必要です。

現れる症状の特徴などについて説明します。

参照:フィナステリド添付文書

性機能障害(性欲減退・男性機能低下)

男性の場合、性交を行うことが難しい状態のことを性機能障害といいます。

フィナステリドの服用では、性欲減退が1~5%未満の方に、勃起機能不全・射精障害・精液量減少が1%未満の方に起こることがわかっています。

また、頻度は不明ですが、生殖器に関係する副作用として、睾丸痛・血精液症・男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少・無精子症・精子運動性低下・精子形態異常等)なども起こる場合もあります。

肝機能障害

フィナステリドの重大な副作用として、頻度は多くありませんが肝機能障害が挙げられます。肝機能障害は、肝機能検査でγ-GPTやAST、ALTなどの項目で異常値がみられる状態のことです。

フィナステリドは肝臓で代謝される薬なので、服用すると肝臓に負担がかかります。とはいえ、多くの医薬品が肝臓で代謝されるため、肝機能障害はフィナステリド以外の薬でも起こりえます。定期的に検査を行い、異常値が出ていないか確認しながら服用しましょう。

初期脱毛

フィナステリドを服用してから早ければ1週間、多くは1〜3ヶ月ほどで、初期脱毛が起こることがあります。「休止期脱毛」とも呼ばれており、新しい髪の毛の成長とともに古い髪の毛が押し上げられるように起こる脱毛現象です。

髪には、抜けては生えてを繰り返す「ヘアサイクル」があります。ヘアサイクルには「休止期」「成長期」「退行期」があり、約2〜6年を1サイクルとして繰り返します。

・休止期:髪の毛の成長が止まり抜け落ちる期間

・成長期:髪の毛が活発に成長する期間

・退行期:髪の毛の成長が鈍化し、毛根が小さくなっていく期間

AGAになるとこの期間が数ヶ月〜1年ほどと短くなり、髪の毛が成長しきる前に抜け落ちてしまいます。
プロペシアを含む治療薬を服用するとヘアサイクルが正常な状態に戻りはじめるため、古い髪の毛を押し出すように新しい髪の毛が生えてきます。このときに生じるのが初期脱毛です。

初期脱毛は、正しいヘアサイクルで成長する髪の毛が新しく生えてくるサインであるため、多くの場合は心配しすぎる必要はありません。

参照:フィナステリドによる初期脱毛はやばい?起こる確率や仕組みをわかりやすく解説

乳房障害

フィナステリドの使用により、胸に痛みを感じる乳房圧痛や女性のように胸が膨らむ乳房肥大といった乳房障害の副作用が起こる場合もあります。

多く発生する副作用ではありませんが、胸が大きくなったり痛みが出たりして、日常生活に支障が出る場合は専門医に相談しましょう。

その他

めまい、そう痒症・蕁麻疹といった過敏症が起こる場合があります。
また、気分の落ち込み(抑うつ症状)や自殺念慮の症状が現れることがまれにあります。これらの症状とプロペシアの因果関係はまだはっきりとしていない状況です。

なお、服用をやめた後にも、ポストフィナステリドシンドローム(PFS)といって性欲減退・勃起機能不全・射精障害などの副作用が継続する場合もあります。原因はいくつか考えられていますが、明確な原因はまだ解明されていません。

いずれの副作用もまれですが、気になるような症状が出た場合はすみやかに専門医に相談し、服用を続けるか検討しましょう。

フィナステリドの副作用が改善しないときの対処法

フィナステリドの副作用は、基本的には服用をやめることで改善しますが、なかには改善がみられない場合もあります。

改善がみられない場合は、復調までに時間がかかっている可能性や、フィナステリドではなく他の疾患が原因となっている可能性などが考えられます。

初期脱毛のように服用を続けて問題がない場合もありますが、服用して体調に変化があった際には、早めに医師や薬剤師へ相談することをおすすめします。

「フィナステリドをやめてよかった」という人の理由とは?

フィナステリドはAGA治療の代表的な薬ですが、なかにはやめてよかったという方もいます。それはなぜかというと、経済的な負担がなくなることが理由として大きいようです。

フィナステリドはジェネリック医薬品のため費用は以前より下がっているものの、1ヶ月あたり4,000円程度はかかります。フィナステリドの治療効果を実感するためには少なくとも6ヵ月の継続が推奨されており、たとえば1年続けた場合約50,000円かかるため、費用を負担に感じる方も一定数いるようです。

フィナステリドをやめるタイミング

フィナステリドの効果は科学的に証明されているものの、人によっては合わない場合もあります。使用を中止するかどうかは総合的な判断が必要になるため、必ず医師に相談するようにしましょう。
副作用や費用の面以外では、以下の2点を踏まえて医師に相談してみてください。

・一定期間使用しても効果が見られないとき

・治療の目標を達成したとき

一定期間使用しても効果が見られないとき

フィナステリドの効果には、個人差があります。一定期間使用しても効果がみられない場合は、他の治療法を検討したほうがよい可能性もあるでしょう。

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、フィナステリドは少なくとも6ヵ月程度は継続して内服し、効果を確認すべきとされています。6ヵ月を超えてもまったく効果を実感できない場合は、医師に相談するとよいでしょう。

治療の目標を達成したとき

継続した治療により薄毛が改善され、目標が達成されればフィナステリドの中止も検討できるでしょう。ただし、フィナステリドの内服を中止すれば、薬の効果も消失します。

AGAは進行性の症状なので、治療薬をやめれば体質も元に戻ってしまう可能性が高くなります。再発のリスクなどを考慮したうえで、中止したい場合には医師と相談してみてください。

フィナステリドをやめないほうがよい人の特徴

逆にフィナステリドをやめないほうがよい人もいます。

・フィナステリドの服用期間が短い人

・初期脱毛が気になる人

これら2つに当てはまる方は、まだ治療効果を実感できる時期ではない可能性があります。
AGA治療にはどうしても時間がかかりますが、その理由はヘアサイクルの正常化に日数がかかるためです。改善には根気よく治療を継続する必要があります。

また、治療の初期に脱毛が増えたという方も治療をやめるべきではありません。この記事の「初期脱毛」の項目でお伝えしたとおり、この現象はそれまで生えていた細い毛髪が、強くて太い毛髪に押し出されて生え変わっている証なのです。フィナステリドの服用を継続することで、薄毛の改善が期待できるでしょう。

薄毛でお悩みの方へ。あきらめない!薄毛・AGAは医療治療で!
この記事の監修医師
総院長

Dr.AGAクリニック総院長 岩槻 快樹

2019年 大阪市立大学医学部卒業
2019年 大阪市立大学医学部附属病院
2021年 医療法人杏和会 阪南病院
2022年 Dr.AGAクリニック大阪梅田院 院長就任
2024年 Dr.AGAクリニック 総院長就任

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