AGA治療

フィンペシアはどんな薬?効果・副作用・飲み方・注意点を解説

AGA治療

AGA(男性型脱毛症)の治療を検討する中で、「フィンペシア」という治療薬の名前を聞いたことのある方もいらっしゃると思います。ただ、フィンペシアがどんな薬なのか、不安をお持ちの方も多いでしょう。

そこで本記事では、フィンペシアの特徴・効果・副作用・安全性や服用時に知っておくべきことについて解説します。AGA治療でフィンペシアの使用を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

フィンペシアとは

フィンペシアとは、フィナステリドという成分を配合したAGA治療薬です。
インドのムンバイに拠点を構える製薬会社のシプラ社によって、製造販売をされています。丸型の錠剤タイプで、白色であるのが特徴です。

インターネットで検索をすると、赤箱と緑箱のパッケージ画像が表示されますが、赤箱はインド以外の海外向け、緑箱はインド国内向けの商品です。かつてはコーティング剤にキノリンイエロー(黄色203号)が使用されていましたが、現在は使われていません。そのため、海外向け・インド国内向けのいずれパッケージにも「Quinoline Yellow Free」と記載されています。

フィンペシアとプロペシアの違い

プロペシアは、フィンペシアと同様に、フィナステリドという成分を配合した代表的なAGA治療薬です。
では、フィンペシアとプロペシアの違いは何かというと、主に以下の2点です。

  • 先発薬(新薬)か、後発薬(ジェネリック医薬品)か
  • 厚生労働省の認可を受けているか

プロペシアは、アメリカのメルク・アンド・カンパニー社によって開発され、1997年にアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されました。プロペシアはフィナステリドを主成分とするAGA治療薬で一番最初に開発された先発薬(新薬)で、現在はメルク・アンド・カンパニー社から分社化されたオルガノン社が販売しています。日本でも承認されている医薬品です。

一方、フィンペシアは前述のとおり、インドのムンバイに拠点を構える製薬会社のシプラ社で製造されているプロペシアの後発薬(ジェネリック医薬品)です。ただし、日本の厚生労働省から承認を受けていないため、国が正式に認めたジェネリック医薬品ではありません。

また、プロペシアの国際特許は2015年まで有効でしたが、インドでは2005年まで物質特許を認めていなかったこともあり、フィンペシアは2015年以前からプロペシアのインド版コピー医薬品として製造されてきた経緯があります。

フィンペシアの製造管理や流通が海外でどのように行われているかはどうしても不明瞭な部分があります。そのため、同じ主成分の薬であり、フィンペシアのほうが比較的安価で買えるというメリットがある半面、品質や安全性の面でフィンペシアには懸念が残るというデメリットもあるのが実情です。

関連記事:プロペシアとは?副作用や服用の注意点について解説

フィンペシアとミノキシジルの違い

フィンペシアとミノキシジルの違いは、薬が持つ働きです。
フィンペシアの主成分であるフィナステリドは、脱毛の抑制が期待できる薬です。一方、ミノキシジルは発毛の促進が期待できる薬です。作用が異なる薬であるため、併用することでAGA治療の効果を高められるといわれています。
関連記事:ミノキシジルとは?効果や副作用、使用方法や注意点を解説

フィンペシアの効果

フィンペシアは、人間の体内に存在する還元酵素「5αリダクターゼ」Ⅱ型の働きを阻害して、男性ホルモン「テストステロン」との結合を防ぐことで、「ジヒドロテストステロン(DHT)」が生成されることを抑制します。これにより、抜け毛の要因となる「トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)」の産生を抑えられるため、脱毛の抑制が期待できます。

詳しくは、主成分であるフィナステリドについて解説した記事もあわせてご覧ください。
関連記事:フィナステリドとは?効果・副作用・飲み方・注意点をわかりやすく解説

フィンペシアの副作用は?

フィンペシアは日本未承認薬であるため、副作用の発現確率に関する詳しいデータは明らかにされていません。
ただし、フィンペシアと同じ主成分のプロペシアの医薬品インタビューフォームによると、プロペシア服用時に起こる副作用全体の発現率は0%で、一番起こりやすい副作用でも発現率は1%となっています。起こらない人の方が多いため、心配しすぎないようにしましょう。

フィンペシアの主な副作用について、以下の表のとおりです。

フィンペシアの主な副作用具体的な症状
性機能障害性欲減退・勃起機能不全・射精障害・精液量減少・睾丸痛・血精液症・男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少・無精子症・精子運動性低下・精子形態異常等)など
肝機能障害肝炎・肝細胞の破壊・肝機能(γ-GPT・AST・ALT)の数値上昇など
初期脱毛新しい髪の毛の成長とともに古い髪の毛が押し上げられるように起こる脱毛現象(服用してから早ければ1週間、多くは1〜3ヶ月ほどで、初期脱毛が起こることがあります)
乳房障害乳房圧痛・乳房肥大など
過敏症めまい・そう痒症・蕁麻疹など
抑うつ症状気分の落ち込み・自殺念慮など
ポストフィナステリドシンドローム(PFS)服用終了後も、上記の副作用が収束しない症状

なお、それぞれの副作用症状の詳細については、同じ主成分のプロペシアの記事に記載されていますので、そちらも合わせてご覧ください。
関連記事:プロペシアとは?副作用や服用の注意点について解説

フィンペシアの飲み方

フィンペシアの服用は、1日1回を限度としてください。服用する量を増やしても、効果が増大するわけではありません。
飲むタイミングについては朝・夜など時間の決まりはありませんが、毎日同じくらいの時間に飲むようにしてください。
食事の有無に関係なく服用できます。水またはぬるま湯で飲みましょう。

なお、フィンペシアは、効果が同じ系統になる以下のAGA治療薬とは併用できません。

  • プロペシア
  • フィナステリド
  • フィナロイド
  • ザガーロ
  • デュタステリド

また、前立腺肥大という病気の治療薬にもフィンペシアとほぼ同じ効果の薬があるため、薬の重複に注意が必要です。似た成分の薬と併用してしまうと、主成分の血中濃度が高まり、副作用が強く出る恐れがあります。他に飲んでいる薬がある方は必ず医師にご相談ください。

フィンペシアを服用する際の注意点

フィンペシアを服用する際は、以下の4点に注意しましょう。

禁忌事項を確認すること

フィンペシアに含まれる成分でアレルギー症状を起こしたことがある場合、再び服用することで以前より重いアレルギー症状を引き起こすことがあります。今まで薬や食べ物でアレルギー症状を起こしたことがある方は、服用前に医師や薬剤師に相談してください。

また、女性と子どもは使用できません。フィンペシアの主成分のフィナステリドには、男性ホルモンの働きを抑制する作用があるため、特に男児を妊娠中またはその可能性のある女性が服用すると、胎児の生殖器に異常を起こす恐れがあると警告されています。授乳中の女性が服用すると母乳に移行し、それを飲んだ乳児に影響が出る可能性があります。

さらに、フィンペシアの主成分のフィナステリドは、皮膚からも吸収されます。錠剤はコーティングされていますが、半分に割ったり粉々に砕いたりしたものを触ってしまうと、服用した場合と同じような副作用が起こります。

女性や子どもが誤って触れてしまわないよう、保管場所に注意することが重要です。

参考:厚生労働省|プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について

薬の飲み合わせに注意すること

併用できない薬はありませんが、「CYP3A4阻害薬」との飲み合わせには注意が必要です。CYP3A4とは、肝臓や小腸にある酵素のことで、医薬品を代謝する働きがあります。CYP3A4阻害薬はその代謝を阻害する働きがあるため、フィンペシアと一緒に服用すると薬の代謝が悪くなり、主成分のフィナステリドの血中濃度が高まるほか、腎機能の低下を招いてしまうかもしれません。

CYP3A4阻害薬は以下のような種類があります。

  • サキナビル
  • リトナビル
  • イトラコナゾール
  • クラリスロマイシン
  • エリスロマイシン
  • フルコナゾール

上記の薬だけではなく、常用薬や他の治療薬を飲んでいる場合も、必ず専門医に薬を服用中であることを相談しておきましょう。

個人輸入薬のリスク面を把握すること

フィンペシアを購入する際、価格の安さから個人輸入を考える方もいますが、偽造品や粗悪品が届く可能性もあり、医師でも製造元の確認が難しいほどに見極めは困難です。
また、日本には医薬品が原因で重い副作用が発生した場合に給付金の申請が行える「医薬品副作用救済制度」がありますが、個人輸入した薬による副作用は対象外となってしまいます。
個人輸入したフィンペシアを服用した方が、不安を覚えてクリニックを訪れるケースも出てきています。本来であれば負わなくてよいリスクなので、医療機関にて安全性が確認されているプロペシアやフィナステリドの処方を受けることをお勧めします。
参照:厚生労働省|医薬品副作用救済制度の概要と制度への協力のお願いについて

服用前に必ずクリニックで相談すること

フィンペシアをはじめとしたAGA治療薬を使用して薄毛の改善をされたい場合は、事前にクリニックにご相談されることをお勧めします。フィンペシアの服用に伴う副作用のリスクをあらかじめ回避することができます。
また、クリニックにご相談いただければ、AGA治療のスケジュール調整・薬の影響の定期的なチェック・特定の薬が使用できない場合の代替療法のご提示など、医師からご提案させていただくことも可能になります。
専門的なアドバイスをもとに、安心できる最適な方法で、AGA治療を進めることが大事です。

フィンペシアの副作用が改善しないときの対処法

フィンペシアの副作用には、初期脱毛のように薬の服用を続けて問題ないものと、過敏症のように薬を中止しなければ危険なものがあります。受診すべき副作用を放置すると重症化する可能性もあるため、症状が軽いうちに適切な治療を受けましょう。

また、個人輸入薬であるフィンペシアで副作用が出た場合、薬に含まれている成分や流通があいまいなため、日本の医薬品による副作用より治療が難しいケースも珍しくありません。

副作用による健康被害やAGA治療への影響を最小限に留められるよう、フィンペシアの副作用を疑う場合は自分だけで判断せず、すみやかに病院を受診してください。

薄毛でお悩みの方へ。あきらめない!薄毛・AGAは医療治療で!
この記事の監修医師
総院長

Dr.AGAクリニック総院長 岩槻 快樹

2019年 大阪市立大学医学部卒業
2019年 大阪市立大学医学部附属病院
2021年 医療法人杏和会 阪南病院
2022年 Dr.AGAクリニック大阪梅田院 院長就任
2024年 Dr.AGAクリニック 総院長就任

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