AGA(男性型脱毛症)の治療を進める中で、「フィナロイド」という治療薬の名前を耳にし、使用について考えている方もいらっしゃることと思います。 ただ、「どんな特徴の薬なのか」「どのような副作用があるのか」「服用する時にどういった注意が必要か」など、不安な点が多いという声も聞きます。 そこで、本記事では、フィナロイドとなどんな薬なのか、効果、他の薬との違い、副作用、飲み方などについて詳しく解説します。AGA治療をより安心して受けたい方は、ぜひ参考にしてください。
フィナロイドとは

フィナロイドとは、フィリピンのロイドラボラトリーズ社が製造・販売しているAGA治療薬です。主成分はフィナステリドで、薄めの赤い色をした丸型の錠剤であるのが特徴です。
フィナロイドとプロペシアの違い
フィナステリドを主成分とするAGA治療薬には、フィナロイド以外にも、プロペシアがあります。 では、フィナロイドとプロペシアの大きな違いは何かというと、「先発薬(新薬)か、後発薬(ジェネリック医薬品)か」と「厚生労働省の認可を受けているか否か」の2点です。
プロペシアは、米国の製薬会社のメルク社(MSD)で開発されました。フィナステリドを主成分とするAGA治療薬で最初に開発された先発薬です。現在はメルク社(MSD)から分社化されたオルガノン社が販売しており、日本の厚生労働省でも承認されています。
一方、フィナロイドは前述のとおり、フィリピンのロイドラボラトリーズ社が製造・販売しているAGA治療薬です。プロペシアの後発薬の位置づけですが、日本の厚生労働省から承認を受けていないため、国が正式に認めた後発薬ではありません。
フィナロイドの製造管理や海外でどのように流通が行われているかはどうしても不明瞭な部分があります。そのため、Dr.AGAクリニックでは品質や安全性に懸念が残るフィナロイドは処方せず、新薬のプロペシアとジェネリック医薬品として日本国内で発売されている「フィナステリド1mg(国産)」を処方しています。
関連記事:プロペシア(フィナステリド)による治療
フィナロイドとミノキシジルの違い
フィナロイドとミノキシジルの違いは、薬が持つ働きです。 フィナロイドの主成分であるフィナステリドの効果は、男性におけるAGAの進行遅延です。一方、ミノキシジルの効果は、壮年性脱毛症における発毛、育毛および脱毛(抜け毛)の進行予防です。Dr.AGAクリニックではフィナロイドの使用を推奨していませんが、主成分のフィナステリドはミノキシジルと作用が異なる薬であるため、併用することでAGA治療の効果を高めることができます。 Dr.AGAクリニックのミノキシジルによる治療については、以下に詳しく記載しておりますので、あわせてご覧ください。
関連記事:ミノキシジルによる治療
フィナロイドの効果

フィナロイドは、人間の体内に存在する還元酵素「5αリダクターゼ」Ⅱ型の働きを阻害して、男性ホルモン「テストステロン」との結合を防ぐことで、「ジヒドロテストステロン(DHT)」が生成されることを抑制します。これにより、抜け毛の要因となる「トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)」の産生を抑えられるため、脱毛の抑制が期待できます。
詳しくは、主成分であるフィナステリドについて解説した記事もあわせてご覧ください。
関連記事:プロペシア(フィナステリド)による治療
フィナロイドの副作用は?

フィナロイドは日本未承認薬であるため、副作用の発現確率に関する詳しいデータは明らかにされていません。 ちなみに、フィナロイドと同じ主成分のプロペシアの医薬品インタビューフォームによると、プロペシア服用時に起こる副作用全体の発現率は0%で、一番起こりやすい副作用でも発現率は1%となっています。
ただし、フィナロイドとプロペシアでは、コーティング剤などの添加物が異なるため、あくまで目安としての情報であり、過信は禁物です。
フィナロイドの主な副作用について、以下の表のとおりです。
フィナロイドの主な副作用 | 具体的な症状 |
---|---|
性機能障害 | 性欲減退・勃起機能不全・射精障害・精液量減少・睾丸痛・血精液症・男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少・無精子症・精子運動性低下・精子形態異常等)など |
肝機能障害 | 肝炎・肝細胞の破壊・肝機能(γ-GPT・AST・ALT)の数値上昇など |
初期脱毛 | 乱れたヘアサイクルが正常化され、弱っていた既存の毛髪が新しい健康な毛髪に生え変わる過程で起こる一時的な症状(治療開始後、2週間~1ヶ月頃から現れ、長い方では3ヶ月程度続くこともあります) |
乳房障害 | 乳房圧痛・乳房肥大など |
過敏症 | めまい・そう痒症・蕁麻疹など |
抑うつ症状 | 気分の落ち込み・自殺念慮など |
ポストフィナステリドシンドローム(PFS) | 服用終了後も、上記の副作用が収束しない症状 |
なお、それぞれの副作用症状の詳細については、同じ主成分のプロペシアの記事に記載されていますので、そちらも合わせてご覧ください。
関連記事:プロペシア(フィナステリド)による治療
フィナロイドの飲み方

フィナロイドの服用は、1日1回を限度としてください。服用する量を増やしても、効果が増大するわけではありません。 飲むタイミングについては朝・夜など時間の決まりはありませんが、毎日同じくらいの時間に飲むようにしてください。 食事の有無に関係なく服用できます。水またはぬるま湯で飲みましょう。
なお、フィナロイドは、効果が同じ系統になる以下のAGA治療薬とは併用できません。
- プロペシア
- フィナステリド
- フィンペシア
- ザガーロ
- デュタステリド
また、前立腺肥大という病気の治療薬にもフィナロイドとほぼ同じ効果の薬があるため、薬の重複に注意が必要です。似た成分の薬と併用してしまうと、主成分の血中濃度が高まり、副作用が強く出る恐れがあります。他に飲んでいる薬がある方は必ず医師にご相談ください。
フィナロイドを服用する際の注意点

フィナロイドの服用を考えている方は、以下の4点に注意が必要です。
禁忌事項を確認すること
フィナロイドに含まれる成分でアレルギー症状を起こしたことがある場合、再び服用することで以前より重いアレルギー症状を引き起こすことがあります。今まで薬や食べ物でアレルギー症状を起こしたことがある方は、服用前に医師や薬剤師に相談してください。
また、女性と子どもは使用できません。厚生労働省ホームページでも、主成分のフィナステリドには、男性ホルモンの働きを抑制する作用があるため、特に男児を妊娠中またはその可能性のある女性が服用すると、胎児の生殖器に異常を起こす恐れがあると警告されています。授乳中の女性が服用すると母乳に移行し、それを飲んだ乳児に影響が出る可能性があります。
さらに、フィナロイドの主成分のフィナステリドは、皮膚からも吸収されます。錠剤はコーティングされていますが、半分に割ったり粉々に砕いたりしたものを触ってしまうと、服用した場合と同じような副作用が起こります。
女性や子どもが誤って触れてしまわないよう、保管場所に注意することが重要です。
薬の飲み合わせに注意すること
併用できない薬はありませんが、「CYP3A4阻害薬」との飲み合わせには注意が必要です。CYP3A4とは、肝臓や小腸にある酵素のことで、医薬品を代謝する働きがあります。CYP3A4阻害薬はその代謝を阻害する働きがあるため、フィナロイドと一緒に服用すると薬の代謝が悪くなり、主成分のフィナステリドの血中濃度が高まるほか、腎機能の低下を招いてしまうかもしれません。
CYP3A4阻害薬は以下のような種類があります。
- サキナビル
- リトナビル
- イトラコナゾール
- クラリスロマイシン
- エリスロマイシン
- フルコナゾール
上記の薬だけではなく、常用薬や他の治療薬を飲んでいる場合も、必ず専門医に薬を服用中であることを相談しておきましょう。
個人輸入薬のリスク面を把握すること
フィナロイドを購入する際、価格の安さから個人輸入を考える方もいますが、偽造品や粗悪品が届く可能性もあり、医師でも製造元の確認が難しいほどに見極めは困難です。
また、日本には医薬品が原因で重い副作用が発生した場合に給付金の申請が行える「医薬品副作用救済制度」がありますが、個人輸入した薬による副作用は対象外となってしまいます。
個人輸入したフィナロイドを服用した方が、不安を感じて当院を訪れるケースも出てきています。本来であれば負わなくてよいリスクなので、当院のような専門の医療機関で、安全性が確認されているプロペシアやフィナステリドの処方を受けることをお勧めします。
服用前に必ずクリニックで相談すること
フィナロイドをはじめとしたAGA治療薬を使用して薄毛の改善をされたい場合は、事前にクリニックにご相談されることをお勧めします。フィナロイドの服用に伴う副作用のリスクをあらかじめ回避することができます。 また、クリニックにご相談いただければ、AGA治療のスケジュール調整・薬の影響の定期的なチェック・特定の薬が使用できない場合の代替療法のご提示など、医師からご提案させていただくことも可能になります。 Dr.AGAクリニックではLINEでお問い合わせ・即簡単予約が可能です。専門的なアドバイスをもとに、安心できる最適な方法でAGA治療に取り組まれることを、ぜひご検討ください。
フィナロイドの副作用が改善しないときの対処法

フィナロイドの副作用には、初期脱毛のように薬の服用を続けて問題ないものと、過敏症のように薬を中止しなければ危険なものがあります。受診すべき副作用を放置すると重症化する可能性もあるため、症状が軽いうちに適切な治療を受けましょう。
また、個人輸入薬であるフィナロイドで副作用が出た場合、薬に含まれている成分や流通があいまいなため、日本の医薬品による副作用より治療が難しいケースも珍しくありません。 副作用による健康被害やAGA治療への影響を最小限に留められるよう、フィナロイドの副作用を疑う場合は自分だけで判断せず、すみやかに病院を受診してください。
すでにフィナロイドをご使用になられていて、不安や心配を感じられた場合は、お気軽にDr.AGAクリニックの無料カウンセリングまでお問い合わせください。