男性の薄毛の原因やAGAの治療について調べていると、ジヒドロテストステロン(DHT)という言葉をよく目にするでしょう。
ここでは、ジヒドロテストステロンとは何か、AGAとの関係、生活習慣との関連性について、現在の医学的知見に基づいて解説します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状や治療法については必ず医師の診察を受けてください。効果には個人差があります。
薄毛・AGA症例毎の発毛実績
ジヒドロテストステロン(DHT)とは

ジヒドロテストステロン(DHT)とは、テストステロンが5αリダクターゼという酵素と結合して生成される、より活性の高い男性ホルモンです。
ジヒドロテストステロン(DHT)の役割
ジヒドロテストステロン(DHT)は、人間の成長において以下のような役割を担っています。
- 胎児期:外性器(陰茎・陰嚢)の形成
- 思春期:体毛や声変わりなどの二次性徴
一方で、成人期においては以下との関連が研究されています。
- 皮脂分泌の増加
- AGA
- 前立腺肥大
なお、似た名称の男性ホルモン「テストステロン」は筋肉や骨の成長に関わるほか、毛髪の成長にも関与するとされています。
詳しくは「テストステロンとは?ハゲる原因?AGAとの関係を解説」を合わせてご覧ください。
ジヒドロテストステロン(DHT)とAGAの関係

現在の医学的理解では、ジヒドロテストステロン(DHT)はAGAの発症に関与していると考えられています。
- ジヒドロテストステロン(DHT)が毛乳頭細胞のアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)と結合
- 脱毛シグナル(TGF-βなど)が産生される
- 毛母細胞の活動が抑制される
- ヘアサイクルの成長期が短縮する
ヘアサイクルへの影響
健康な髪の毛のヘアサイクル:
- 成長期:2〜6年
- 退行期:2〜3週間
- 休止期:3〜4ヶ月
AGAの影響を受けた場合:
- 成長期が数ヶ月〜1年程度に短縮
- 十分に太く成長する前に脱落
- 徐々に細く短い毛が増える
※AGAの進行には個人差があり、遺伝的要因や環境要因が複雑に関与しています。
ジヒドロテストステロン(DHT)が増える原因

ジヒドロテストステロン(DHT)が増える主な原因は、以下の4点が考えられます。
①遺伝
ジヒドロテストステロン(DHT)の分泌量は、5αリダクターゼの量に関連することが知られており、この量は遺伝的影響を受けるとされています。
②喫煙
1994年の研究(Field AE et al., J Clin Endocrinol Metab)では、喫煙者のジヒドロテストステロン(DHT)値が非喫煙者より14%高いという報告があり、相関関係が示されています。
③ 飲酒
1988年の研究(Inhibition of 5 alpha-reductase activity in human skin by zinc and azelaic acid)では、亜鉛が5αリダクターゼの活性を阻害する可能性について示唆されています。
過度の飲酒は、亜鉛を大量に消費してしまうため、結果的にジヒドロテストステロン(DHT)を増やしてしまう恐れがあります。
④ストレス
慢性的なストレスは、ホルモンバランスに影響を与える可能性があります。ホルモンバランスが崩れてテストステロンの分泌量が増加すると、結果的にジヒドロテストステロン(DHT)が増える可能性があります。
ジヒドロテストステロン(DHT)が多い人の特徴
ジヒドロテストステロン(DHT)の分泌量が多い人には、以下のような特徴があります。
- 体臭が強い
- ニキビや肌のテカリがある
- 体毛が濃い
- 薄毛症状が生え際や頭頂部に現れている
ジヒドロテストステロンには皮脂腺を活性化する作用があるため、分泌量が増えると皮脂の分泌も多くなり、体臭が強くなったり、ニキビや顔のテカリが目立ったりする傾向があります。
また、ジヒドロテストステロンの分泌量が増えると、体毛の毛乳頭が刺激されて体の毛が濃くなります。その一方で、髪の生え際や頭頂部では毛乳頭の働きが抑制されるため、AGA特有の薄毛症状が現れることが多くなるといわれています。
ジヒドロテストステロン(DHT)を減らす方法

ここでは、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制して減らせる可能性のある方法についてみていきましょう。
※これらの習慣がジヒドロテストステロンレベルに直接的な効果があるかは個人差があります。AGA症状でお悩みの場合は、生活習慣の改善だけに頼らず、医師による適切な診断・治療をお受けいただくことが重要です。
運動・筋トレ
慢性的なストレスは、ホルモンバランスに影響を与える可能性があります。運動・筋トレをすることでストレス解消につながり、乱れたホルモンバランスが整います。
2〜3日に一度のペースで20分程度の有酸素運動が望ましく、ウォーキングやジョギング・サイクリングなど、心拍数が1分間に110回程度の続けやすい運動を選びましょう。激しい運動はかえってストレスがたまるため、注意が必要です。
筋トレをすると薄毛の原因になるという説がありますが、医学的根拠はないといわれています。一般的な負荷の筋トレをすることによる薄毛の心配はないでしょう。
なお、当院の運動改善相談サービスでは、血行促進やストレス軽減など、髪の健康に良い影響を与える可能性のある運動習慣についてお伝えしております。
十分な睡眠をとる
慢性的なストレスは、ホルモンバランスに影響を与える可能性があります。質の高い睡眠を十分な時間確保することで、乱れたホルモンバランスが整います。
質の高い睡眠のために、下記の項目を意識しましょう。
- 軽めのストレッチを行う
- 入浴は就寝の2時間前までに済ませる
- 快適な寝具を使用する
- 部屋の照明を暗めにする
- 寝室の室温を適温にする
- アルコールやカフェインを控える
- 寝る直前にはスマホの利用を控える
なお、睡眠改善相談サービスでは、寝不足や睡眠の質など、髪の健康に悪影響を与える可能性がある睡眠習慣の改善についてお伝えしております。
禁煙・禁酒する
前述の通り、喫煙や飲酒は、ジヒドロテストステロン(DHT)を増やす要因になる可能性があります。
なお、食事改善相談サービスでは、髪の健康に関わるとされる食べ物・栄養素や、髪の健康に悪影響を与える可能性がある食べ物・飲酒・喫煙など、AGAに関係する食事改善についてお伝えしております。
食べ物を見直す
以下の栄養素については、基礎研究レベルで5αリダクターゼとの関連が報告されています。バランスの良い食事の一環としてご参考ください。
- 亜鉛 亜鉛を含む食材は、「亜鉛の摂取で髪の毛が伸びるって本当?効果や摂取方法をわかりやすく解説」を合わせてご覧ください。なお、当院では栄養補助食品として亜鉛サプリメント「Dr.Zinc」も取り扱っております(医薬品ではありません)。Dr.Zincは、吸収率や身体への安全面を考慮して、無機亜鉛(亜鉛を直接含む)ではなく、亜鉛含有酵母を含ませております。
- ピリドキシン(ビタミンB6) ピリドキシン(ビタミンB6)を含む食材は、まぐろ、バナナ、かぼちゃ、鶏肉、豚肉、じゃがいも、さつまいも、ピーナッツなどです。
- イソフラボン イソフラボンを含む食材は、豆腐や納豆などの大豆製品です。植物性エストロゲンとも呼ばれ、女性ホルモンに似た働きがあります。イソフラボンが女性ホルモンのような働きをすることにより、男性ホルモンとのバランスが改善されることが期待されます。
なお、食事改善相談サービスでは、髪の健康に関わるとされる食べ物・栄養素や、髪の健康に悪影響を与える可能性がある食べ物・飲酒・喫煙など、AGAに関係する食事改善についてお伝えしております。
ジヒドロテストステロン(DHT)に関するAGA治療は当院にご相談ください
生活習慣の見直しだけでは薄毛症状の改善が難しい場合も少なくありません。症状の改善が見られない場合は、AGA治療のご検討をお勧めします。
当院ではジヒドロテストステロン(DHT)の生成抑制が期待されるAGA治療薬として、以下の5種類があります。詳しくは各治療法ページをご参照ください。